前回、蘇る恐怖・・・氷河ルート敗退は、ここをクリック。
撤退して、昼過ぎにC3に到着し、仮眠を取った。
目が覚めてから考えていたこと。それは、
もう一度、氷河ルートに挑むのか、ノーマルルートに変更するか。
ヤマテンの猪熊さんからメッセージが届いていた。
『体調がよくてよかったです。但し、そんな時が一番危ないのです。自分の身体、心や山と対話してください。』
『今日の夜は、天候がいいですが、明後日以降荒れます。』
氷河ルートの登頂成功率は3%。
おれの滞在期間の天候を考えると、これが最後のチャンス。
登頂達成を最優先に考えると答えはすでに決まっていた。
ノーマルルートに変えよう。
深夜0時に起きて、早朝3時にC3を出発。
まだ、だれも出発していないけど、歩くことが遅く、時間の掛かるおれは少しでも早く出発して、その遅れを補わないと登頂できない。
登りだして3時間、夜が明けてきた。
▲アコンカグア近辺にある名前も知らない5~6,000m峰も美しい。
出発して5時間半。
ほとんど使われていないC4、インディペンデンシア小屋(6,380m)に到着。
そこから15~20分で尾根に出る。
突風が吹く中、目の前に現れたのは、難所の1つ大トラバース。
▲これは下山時に撮った写真。トラバースとは名ばかりで、しっかりと上に突き上げた道
ザレていて1歩踏み込むと5歩くらい下がるような道で、体中の酸素と、脚力を奪いにくる。
崩れる前に次の足を出さないとホントに進めない。
たかだか500m程度のトラバースに2時間くらい費やしクリアした。
▲大抵の登山者は、大トラバースを抜けると力尽き、大休止する(笑)
実際、大トラバースを抜けて、グラン・カナレターを前に引き返した登山者が何人も居たし、もっと言えば、C4(インディペンデンシア)にすらたどり着けない登山者や、たどり着けても大トラバースを見ずに引き返す登山者がたくさんいた。
引き返す登山者のほとんどが、ルートの難易度が原因なのではなくて、高度順応の失敗が原因。
そして、大トラバースを抜けると難所2つ目。
グラン・カナレターが現れる。
山頂直下まで、ザレた道が突き上げる。
高度順応に成功している登山者でも大抵がこの難所でアコンカグアの洗礼を受け、振るいにかけられる、まさに心臓破りの急登。
とにかく空気が薄く、全力で体力を奪いにくる。
▲標高6,500mでこの急登(しかもザレている)は過酷のひとこと。
グラン・カナレターに取り付いて2時間。
すでに山頂を踏んで下山してきた登山者が、
『タカ、見ろ!山頂はあそこだ!』
『おまえは行ける!』
って、声を掛けて下山していく。
でも、そんな簡単にペースが上がるわけがない。
空気が薄く、酸素がほしい。
苦しくて数歩進んで休む、の繰り返し。
でも、動きが遅く、疲労感があっても心は折れていない。
あと少し・・・
あと少し・・・
そして、ついにその瞬間が来たっ!
2017.12.29 12:37 その日、11人目の登頂者(単身挑戦者では1番乗り)となることができた。
今回の苦労話だけでなく、昨年からのことが一瞬で頭の中を駆け巡り、恥ずかしいけど涙が止まらなかった。
でも、涙が出ると酸欠になるという、容赦ない環境に笑えてきた(笑)
ノーマルルートは簡単??
ふざけんな!
大トラバース、グラン・カナレター、だけでなく、そもそも山頂はデスゾーン手前の7,000m。
そこを目指す登山は各所で身体中の酸素を奪い、足と心臓を破壊してくる【過酷】の一言に尽きる。
〈詳細〉
日本から17,000km
登山口からの総移動距離:65キロ
滞在期間:13日間
累計標高:7,262m
酸素量:地上の47%
登頂標高:6,962m
登頂ルート※:ノーマルルートで達成。
ポーランド氷河ルートは敗退。
※アコンカグア総登頂成功率20%(ノーマルルート:16%、ポーランド氷河ルート:3%、南壁ルート:1%)
8,000m峰14座を無酸素で登頂した有名な登山家:竹内洋岳さんは、8,000m峰10座目の挑戦として挑んだガッシャーブルムⅡ峰(8,035m)の6,900m付近で雪崩に巻き込まれました。
隊員2人が死亡し、竹内さん自身も背骨の破裂骨折、片側の肺破裂、肋骨を5本折る重傷を負ったんですが、そんな竹内さんが言ってました。
『あの時、いろんな人のチカラによって降りて来た。しかし自分の足で降りて来てないと言うことは、山の中で死んでなきゃいけない。でも死んでもいないのに降りて来ている。これは私の登山ではあってはいけない。登山は自分の足で降りて来てはじめて登山。山頂に立てなくてもあの場所(事故のあった場所)まで行ってこの足で降り直したい。』と。
昨年、アコンカグアに挑戦したおれは、いろんな原因はあるにしろ、4,300mのBCから撤退した。
メディカルの医師、メンドーサ観光局、アルゼンチン軍、いろんな人のチカラで降りてきた。
大好きな植村直己さんの言葉
『冒険とは生きて還ること。』
自分の足で降りて来られなかったおれは、あのまま死んでないとだめ。
大袈裟で分かってもらえないかもしれないけど、メディカルチェックが無かったら、血中酸素濃度41%と言う死人同然の身体のまま無理して先に進んでいたと思う。
そしてきっと死んでいた。
今回の再挑戦ではアコンカグアの山頂に立ちたいのが本心。
でも、たとえ山頂に立てなくてもあの場所に戻りこの足で降りたい。
そう考えていたからリベンジの炎は消えなかった。
『なんで?なんでそんな危ないことを?死んぢゃうよ?』
よくそう言われました。
でもおれは〝死〝なんて絶対に言わない。
絶対に。
それは、昨年のアコンカグア、一昨年カヤンベで圧倒的な死を身近に感じて〝生〝を知ったから。
絶対に死にたくない!って心の底から思ったから。
去年の言葉、覚えてますか?
『山頂に着いたら何か変わってるかな?』
「何かに挑戦しようとした時すでに変わってる」
「なぜこんなことをやるのか?」ってよく考えます。
ただ、大きな挑戦を決意した時、必ず新しい出会いがあって、おれだけにしか開かない世界が開くんです。
そして奇跡を起こす。
夢が叶う人はわずかかもしれない。
でも、夢が叶う瞬間は、実は夢が消えてしまう瞬間。
だから、本当は、夢に向かって挑戦している時が、一番幸せな時間。
夢を持ち続ける事が一番幸せなんです。
どんな事もやればできるよって事を伝える事が出来れば・・・
そんな事をどこかの誰かに伝える事が出来れば・・・
あの時の小学生に恩返しができる・・・
そう思ってます。(←かなりマジ)
ってことで、
挑戦第三弾リベンジ
南米最高峰アコンカグア単身登頂!達成でございます♬
ヤマテンさま
年末の忙しい中、ありがとうございました。電話掛けて声聞けてとても心強かったです!
3月神戸の講習に伺いますね。
ウェック・トレックさま
極地、高所でも交信できる衛星電話は素晴らしすぎます。
たくさんのメッセージが宇宙を経由して届きました。
ありがとうございました。
ビジョンさま(global Wi-Fi)
アルゼンチン、チリだけでなくBCでもWi-Fiを拾えました。
世界各国におけるネット環境のご支援ありがとうございました。
HCSさま
アコンカグア仕様のテントは、凶暴で有名なアコンカグアの風でもビクともしませんでした。
おかげで安心して熟睡できました。ありがとうございました。
mont-bellさま
ウェア、浄水器、ザックなどたくさん提供していただきありがとうございました。
ANAさま
今回も無償で席をUPグレードしていただき疲れを溜めず挑戦に集中できました。
ありがとうございました。
ラックスさま(fungoal)
標高約7,000m、マイナス30度でも耐えた素晴らしいワッペンでした。
ありがとうございました。
帰国したら追加で製作してください♬
岡口屋さま
ご支援ありがとうございました。
帰ったら顔を出しますね!
カニのフルコース食べたいです(笑)
イワタニ・プリムスさま(ザンバラン、ドイター)
一年遅れのご報告となりましたが達成できました。
ありがとうございました。
金銭支援をしていただいた方々(10人の皆様)
金額に関わらず他人の夢に大切なお金を支援する事はとても大変な事だと思います。
本当にありがとうございます。
まだまだやります!
また私の夢に乗っかってご支援頂けると嬉しいです。
美(ちゅ)らサンゴのみんな
やったよ~♬
6月に会えるの楽しみにしてる!
見送りに来てくれたみんな(かお、やもさん、ミヤモ、宮台さん、ヒト、ねぇねぇ、むつみ、走、出張で来れなかった嶋さん)
ホント、会えるのは毎回数分なのにその為にわざわざ顔を見に来てくれてありがと!
一年遅れやけど達成!
お守り買ってくれた方々
全部まとめてぶら下げてます。
↑これホント(笑)
鞠、ブーツ、カエル、腕輪はザックにつけてます。
ありがとうございました。
バイク仲間
応援とつまらないどうでもいい(←褒め言葉)メッセージありがとう。
帰ったら、はからんとこで宴頼むで!
衛星電話にメッセージをくれた方々(159件)
疲れていても読むのが楽しかったです。
でも、ほとんどの人が名前書いてくれてないので未だに誰からかわからん(笑)
ありがとうございました。
その他たくさんの方々
応援ありがとうございました。
あっ!最後にやらしい話ですが、ご支援頂ける企業様、個人さまを募集してます。
ご紹介も大歓迎です。
HP、広告作ってあげる!って方も大歓迎です♬
ぜひ、メッセージ下さい。
では、良いお年を!
本当にありがとうございました。
adiós!
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