甦る恐怖・・・氷河ルート敗退・・・。

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いよいよ決戦の時を迎えた。
12時間以上の長丁場の戦いになるので、しっかり寝ようと思っていたのに、荷揚げを終えてから興奮してほとんど寝ていない・・・。



予定通り、0時前に起き、準備を開始。
周りのテントは誰も起きてこない。



さぁ行くかっ!



ピッケル、アイゼン、行動食、防寒など最終チェックを行い、気を引き締めヘッドライトのスイッチを入れると、ライトの光が目の前の真っ暗な闇をスパッと切った。


興奮しながら氷河ルートの取り付きを目指した。


氷点下の澄んだ大気の中で見上げた夜空には想像通り、満天の星が瞬いていて、吹いている風は肌に触れると切れそうなくらい冷たいのに、そんなことすら忘れさせてくれる美しい光景に見入ってしまう。


遠目に薄っすらと氷河が見えるけど、明かりの乏しい道中で、おれの距離感は狂う。


想定通り、約2時間で氷河までたどり着いたけど、風が作り出す氷河の造形ペニテンテが行く手を阻む。

まっすぐ歩けないし、ペニテンテに乗るとすぐに壊れる。


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▲ペニテンテ、形はいろいろあるけどこんなやつです。


いよいよやっ。

最後の難関、山頂直下の直登氷河ルート。



山頂までの標高差1,000mの氷河を直登するポーランド氷河ルート



真っ暗な中、ヘッドライトに照らされた氷壁を前にとつぜん恐怖が襲ってきた。



怖くて足が進まない・・・。
引き返そうかな・・・。




苦しいこと、怖いこと、寂しいことを誰にも言えない。


相談もできない。


おととし、カヤンベ山(赤道上最高峰)挑戦中の5,580mでの出来事。
高山病に侵されていたけど、強い意志で足を踏み出していた。

でも、その一歩よりも速い速度で死が近づいてくる実感があったんです。
寒いし、苦しいし、自分がどこにいるのか、どこに向かっているのか分からなくなる。


大自然が牙を剥いたらどんな生物も敵わず、いつでも平等に命を奪われる。


死の世界をとても近くに感じ、恐怖に震えて先に進めず、怖くて撤退した。



その後、再挑戦し辛うじて登頂を果したけれど、今回はその頂よりも標高が1,000mも高い。未知の領域を前に恐怖が襲ってくる感覚分かりますか。


怖いっ・・・


でも、どんなに怖くて辛い挑戦だったとしても、“生死を掛けた真剣勝負をしている!“って、ワクワクしている自分も感じました。



“おれは生きとる!”ってことを全身で感じて活き活きしてた。


カヤンベにもエルブルースにも登れた!

アコンカグアもやれる!

死ぬつもりで登る奴はいない。
待ち構える困難も乗り越える自信があるから登るんや!




信念さえあれば、不可能はない!


それを証明したる!





この時、本気でそう思った。


”登頂したら何か変わるかな??”




俺のことを思ってくれるたくさんの応援に後押しされ、

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おれは小さな一歩蹴り込んだ。




その一歩は、これから始まる長い戦いの幕開けを告げた。

12時間にも及ぶ長い戦いの幕開け。


標高5,700mから山頂までダイレクトに突き上げる氷河ルートは本当に氷壁。

標高の低いところでは斜度が45度くらい。
標高が高くなると斜度が60度くらいになると思う。

写真を撮る余裕がなかったので、数枚(360°カメラ使用)


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何時間経ったんやろ?

上へ上へと確実に登っているけど、大自然のくそデカい氷河の真っ只中に入ると、その大きさに圧倒されて、自分がどこにいるかわからなくなる。


人間って本当にちっぽけで、真っ暗な氷河は自分の感覚とあわなくなって、この数時間全く進んでいないんじゃないか?って思ってしまう。


でも、その感覚も含めて何か懐かしくて楽しい。



そんなころ、夜が明けてきた。




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▲この岩を越えるのも厄介。


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▲わかりにくいけど、山頂方向に大きなセラックがあります。


標高が上がると雪質が不安定になり、中途半端な踝(くるぶし)ラッセルで進むことに。
標高が高いので、このラッセルが体力を奪う。


あそこまで、あそこまで、と進んだものの、標高6,200m地点にあるセラックまで来たところで撤退を決意。

この先、山頂まで何時間かかるんやろ?
山頂からC3まで帰るのに何時間かかるんやろ?
この先、どんなルートになってるんやろ?

いろいろ考えるとこの先リスクしかない。
それに、情けないけど、時間切れ・・・。


ここまで来るのに9時間・・・。



氷河ルートの詳しくは←をクリック。


氷河以外の360℃映像はここをクリック。


テントまで戻るにも5時間も掛かった・・・
疲れ切った・・・。


さて、どうする??


次回、挑戦第三弾リベンジ アコンカグア達成は、ここをクリック。


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