興奮して、マッターホルンの時よりも眠れへんかった。
4時前には目が覚めて、少し早いけど勝手に朝食を食べ始めた(笑)
しっかりと支度を整え5時半に出発。
朝から冷えるけど、日中は暑くなるのがわかる。
俺らは猛暑を想定してなかったのでハードシェルやけど、俺ら以外はソフトシェル。
小屋を出てすぐナイフリッジが始まる。
薄っすらと見えるミッテルレギ稜に恐怖を感じる。
稜線通しやから、大きく迷うことはないけど、正面突破かキレッキレのカンテを攻めるか悩む時がある。
でもアイゼンの跡があってルートは示してくれる。
マッターホルンと違ってピンはなく基本岩に掛ける。
マッターホルンの反省を生かして、コンテ(交互行動)を意識した。
落ちたら確実に死ぬ場所ばっかやから、岩かヌンチャクでみゆきちゃんを確保して登攀を続けた。
出発して約3時間、本家ジャンダルムに到着!
ここにもFIXロープがあるんやけど、とにかく登りが長い。
どこでも同じやけど、腕だけで登るとすぐにパンプするから足で登ることを意識した。
けど、さすがにみゆきちゃんは途中で力尽きる気がしたから、確保することにしたんやけど、俺まで確保されると時間を食うので、おれはフリーで登って引き上げだけを確保するやり方に変えた。
時間は掛かったけど安全は全てにおいて最優先やから、これでよかったと思う。
本家ジャンダルムを終えると雪が出てきた。
アイゼンを履いて、さらに気を引き締める。
トレースを外れないよう慎重に歩く。
リッジ上は雪ではなく氷で歩きにくいから途中から雪壁をトラバースすることにした。
みゆきちゃんはこっちの方が怖かったらしい。
アイゼンを引っ掛けないよう慎重に歩く。
12時08分 アイガー山頂に着いた。
ゆっくりしている時間はないからサクッと写真を撮って下山する。
ブラッドが言っていた簡単な稜線ってどれやろ??
北西方向にたくさんの踏み跡があった。
一瞬こっちかな?って思ったけど聞いたことないから、予定通りメンヒ(4,107m)に続く稜線に向けて降ることにした。
まずはアイガー山頂を抜けて、約300m下のコルに降りる。
ここは懸垂下降3回とクライムダウンで抜けることができた。
2時間半掛かった(笑)
コルからメンヒに抜ける稜線がめちゃくちゃ面倒で分かりにくい。
しかも、脆くてあちこちで落石が頻発している。
細いリッジを登ったり、回り込んだりしながら先に進む。
ここも確保なしのフリーで進み、みゆきちゃんだけ確保するスタイル。
まさに接待登山!
50mロープいっぱい延ばした登攀をしたかったけど、みゆきちゃんの無線が調子悪くアイガー登攀中から使い物にならず声が届かん。
結局、25mの小刻みで進むことになり更に時間を食うことになった。
アイガー登攀で時間を費やした原因はまさにこれ!
この稜線は高度感あるし、岩が脆くてすぐに崩れるしめちゃくちゃ怖い。
登攀中、めちゃくちゃデカい岩が崩れてマジでビビった(笑)
なんか、この稜線で恐怖に対する耐性が一気にレベルアップした気がする。
でも、とにかく怖い。
行くしかないから行く感じ。
5mでも落ちたら死ぬんやから、500m落ちても変わらんわ!って開き直ったら動きが軽くなった(笑)
メンヒに続く稜線は、とにかく精神的にも肉体的にもキツかった。
岩稜を進んでいくとアイゼンを履くところが1ヶ所、狭いワイドクラックが一箇所、前穂北尾根のチムニーみたいなところが1ヶ所等々が出てきて手こずったけど、何とか?やっと?メンヒ下の雪原に出た。
山頂から8時間も掛かり、メンヒスヨッホヒュッテに19時半に到着。
最終列車に間に合わないため宿泊したんやけど、
「どこから来たの?」
って聞かれて、
「ミッテルレギ稜」
って答えたら、
「なるほど、わかったわ!それで電車に間に合わなかったのね!」
って。
周りの宿泊者も俺らに興味津々でガン見してくるから、まぁまぁ鼻伸びて誇らしくなった(笑)
みゆきちゃんも心なしかドヤってた(笑)
夕食は終了していてヌードルも何もないから持ち合わせのお菓子と、小屋で買ったスナックと紅茶1Lで凌いだ。
1泊朝食付きで48CHF(約6,480円)、夕食がない分安くなっていた(笑)
感動しました
ありがとうございます