悪天候の明神岳主稜

いつもなら平湯方面に駐車して上高地入りするのですが、下山したら大町市で登山道の整備する予定もあり、沢渡駐車場に駐車し、5時半に上高地入りしました。

支度を整えて、登山開始です。

河童橋を渡り、自然探勝路を進み、岳沢小屋へ向かう一般登山道に入ります。
上高地から約40分、No.7看板に到着。

この看板の向かい、南西尾根に入っていきます。

すぐに急登が始まります。
標高差約1,000ｍ程登るので体力必要です。

ガバホールドがたくさんあるので、難しくないと思います。

難しくないけど慎重さは大切です。

Ｎo.7分岐から約3.5時間。
マイナー五峰が見えてきた。

マイナー五峰を越えると、五峰が目の前に。

強風の吹雪で視界が悪く、雪が顔に当たって痛い。
積雪も3〜40cm。

五峰の登攀は推奨ルートを登らなかった（笑）

ま、バリエーションルートに正解はないのでこれでいいんです。

依頼主2人の安全を考えてロープ出しました。

五峰山頂でも悪天候は変わらず、むしろどんどん酷くなっている感じ。

五峰台地まで下山するのもなぁ〜って悩んでたんやけど、そんな暇もないくらい天候が悪化したから、山頂の雪庇に雪洞掘ることにした。

でも、積雪が浅すぎて断念。
テントもあるから、大きな穴掘ってテントを設営。
ただ、風速約15ｍ前後の吹雪でテントが吹っ飛びそうやから、ピッケルや、アイゼン、ロープを使い、網を張って、テントを押さえて設営完了。
これで、夜もひと安心（笑）

翌朝、強風は続いているけど超快晴！

悪天候の一夜を乗り切ったし、もう下山しようかと思ったけど、五峰台地で夜を明かしたパーティーが登ってきてひと言『降るの？もったいない！』。

この言葉が後押しとなり、進むことにした。

次の四峰山頂を見ると雪煙がぶっ飛んでいて、烈風って事がすぐに分かった（笑）

さて、五峰から四峰の様子を見たんやけど、ルートもはっきり見えているし問題なさそうです。

淡々と登る四峰。

四峰から振り返って五峰を見る。

四峰を越えたら、主峰を捉えました。

三峰下をトラバースし、その後、稜線通しに登るようですが、稜線左手にFIXロープが埋まったトラバース帯が見えたので、ついついそっちに流れてしまった。
この2つ目のトラバースは、雪が付いて心地悪かったのでロープ出しました。

そして三峰山頂まで突き上げるような登り（笑）

ここまで来たら抜けるしかない♬

今朝、五峰で出会ったパーティー。
三峰トラバースでモタついている間に稜線通しで抜かされてしまった。

でも、そのおかげで少し会話することが来たんです。

『昨日は、山頂でよく耐えたね。五峰台地でも大変だったのに、いい度胸だ！その経験が次の登山に活きてくるよ！』って。

本当に大変でいい経験が出来た。

二峰からの懸垂下降は2回とも50mロープで十分でした。

1.2峰間のコルから、ジャンダルムが間近に見えた。

そして、主峰に登頂。

前穂高岳も目前。
主峰から先も程よい緊張感で進んでいくと、

ケルンが積んであった。

主峰が離れていく。

短い雪壁をクライムダウンで降る。

明神岳山頂から約1時間、FIXロープがあるけど、このロープは使わず、持参のロープで懸垂下降。

50ｍロープで懸垂下降2回すれば、奥明神沢に取り付けます。

前日の積雪、高い気温に雪崩れを懸念し、交互行動、交互警戒で下山開始。
下山には倍以上の時間が掛かるけど、これが一番安全。

そんな中、先行した俺が後方の二人を警戒している時に二人の後ろから迫る雪崩れを確認！
大声で状況を伝え、躱したことで被害ゼロ。

雪渓の雪が深くて、進まへん、、、。

下山中に、出会ったパーティー。
この組は、前日に五峰台地から下山した方々。

この組のリーダは手が無いにも関わらず、ハーネスなどの自己装備を自身で着けるそうです。

『ダブルアックス使えなくて大変なんですよ』

って、言いのけるこのお父さん、明神から下山した翌日、雪渓を登り詰めて、前穂高岳に登ってきたそうです。
凄すぎです！

今回もたくさんの事を学べたいい登山となりました。

＜おまけ＞
登山道整備してきました。
場所は、長野県大町市平高瀬ダム奥です。

北鎌尾根末端に行く際に、通ることになる登山道です。
マニアックな登山道整備、お疲れ様でした。