【初めての奥穂高岳は、バリエーションで登りたい】
標高日本第3位3,190m。
そんな依頼を受け、企画したのは奥穂高岳南稜。
当初の予定では、初日になるべく南稜を詰めて登り、適地でテント泊。
翌日奥穂登頂後、余裕を持って下山とういう計画。
しかし、上高地へ着くと雨。
雨予報は把握していたんやけど、結局いろいろ(※)考えて、上高地泊して、翌日深夜から奥穂山頂を目指すことにしました。
※)テント泊装備の重量、雨の中の設営、濡れて重くなった装備を持った翌日の登攀、通しの移動距離、時間等
深夜2時起床、3時発で登山開始。
上高地から岳沢へ。
鬱陶しい樹林帯を歩くのが嫌いで途中から岳沢ど真ん中を通って、奥穂南稜の取り付きを目指しました。
すぐに夜が明けて、上高地らしい景色が広がってきました。
歩き出して2時間、目指す大滝が見えてきました。
岳沢の雪渓は所々割れていました。
特に問題なく取り付きまで来たんやけど、南稜取り付き前に深さ5mくらいのクレバスが大きく開いてて、乗り越えるのが楽しかった(笑)
大滝横は柱状節理で有名です。
取り付きから灌木や藪が多くて登りにくい。
灌木や藪が多過ぎて、”ルート合っとんか?”って何回も思いながらの登攀。
深い藪、雪解け水が流れるルンゼ、急な残雪、滝とバリエーションらしくいろんな難関が出てきますが、雪解け水がを流れる微妙な滝が厄介でした。
中途半端な滝には苔が生えてとにかく滑る!
そして、ハプニングがあり、不覚にも足を挫いてしまいました。
そんなこともあり、大したことない滝やけど、念の為、ロープ出して越えるとトリコニーの三峰とモノリス岩が見えてきました。
トリコニー岩峰したの雪壁を直登し、岩壁を右上し、その後直登すると、モノリス岩の横に出ます。
モノリス岩の下までフリーでいけると思います。
モノリス岩を抜け、岩峰を進むと大きなクラックが出てきます。
このクラックは抜けるんではなくて、クラックの中で上にあがり、渡るというおもしろいクラックでした。
クラック後は、ハーケンが打たれた壁を直登するか、右のクラック沿いに登るか、左に少し降りてから右上するルートが見て取れたけど、私はハーケンの壁をフリーで進みました。
依頼主には、厳しかったようで、思案した結果、右のクラックから登ってきました。
その後、トリコニー1峰に登ると両サイドが切れ落ちたナイフリッジです。
流石にここからはロープを出しました。
ナイフリッジからはトリコニー2峰が目の前に見えます。
トリコニー2峰が特に難しくもなく、越えるとトリコニー3峰が目の前に見えます。
3峰の雪壁は60度くらいありそうです。
かなり立ってます。
今回は3峰に登らず、そのまま急な岩場を登り、雪稜、ナイフリッジが交互に続きます。
その後、一箇所6mほどの懸垂下降を終えると、特に難しくもない岩場が出てきます。
ただ、雪解け後が原因なのか、足元の岩場がめちゃくちゃ脆くてすぐに崩れます。
私も落石を起こして、滑落しかけました。
危ないので、ロープで繋いで登り、南稜の頭に到着。
無事、奥穂高山頂に連れて行くことができました。
しかし、核心はここから(笑)
登攀中、どこから下山するか?をずっと考えていました。
通常であれば、前穂高岳方面に向かい、重太郎新道から岳沢に降りるのがいいんですが、登攀中に観察した状態や、今日の気温を考えると、どうも条件が悪く心地悪いんです。
クラックが見えたし、依頼主のレベルや、登攀の総行動時間を考えると、遠回りやけど、各所に山小屋がある涸沢方面に降りて、歩き慣れた道で帰った方がいいと判断しました。
ってことで、このまま穂高山荘を目指しました。
2年ぶりの穂高山荘。
行くといつもよくしてくれるんです。
今回もホットカルピスを入れてくれました。
本当に一息つけた感じで疲れた体に染みるってこれなんですね。
でもゆっくりはできません。
穂高山荘から上高地まで、コースタイムでなんと!6時間!
積もる話も中途半端に下山開始。
涸沢カールの雪渓を1時間で直下したたものの、その後はコースタイム通りで23時過ぎ上高地に到着(笑)
気持ちの強い依頼主でよかったですが、自分自身、反省点がとても多い登攀となりました。
特に、スタカット(ロープを繋いで交互に行動する)の多用したのはダメでした。
交互に行動すると行動時間は単純に倍になります。
次回に活かします!
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