「五郎池、干上がっとるやん(笑)」―東沢谷脱渓!

東沢谷、4日目。

いよいよ今日は脱渓して、野口五郎小屋へ向かう。
前日の寒さを、”北アルプス舐めてた”って、皆振り返る
もともとの予定では、黒部源流で脱渓する計画やったから、松村さんと静穂ちゃんは三俣山荘へ行き、最終日は伊藤新道を下る。

一方、僕たちは野口五郎岳を経由して、ブナ立尾根を下る予定やった。
ところが、上ノ廊下から東沢谷へ転戦し、その結果、予定も大きく変わった。

三俣山荘へ向かうはずやった松村さん、静穂ちゃんも、最終的にはみんなで野口五郎岳へ向かい、ブナ立尾根を下ることになった。

そして今日は、その野口五郎岳へ向けて脱渓する日。
昨夜は寒さでほとんど眠れなかったけど、ようやく沢を離れられる(笑)

東沢谷終わりの登山道までの登りは急登ではなかった。

ここが東沢谷最終の水場

沢装備を片付け、登山靴に履き替える。

久しぶりの登山道だ。

ここからは、野口五郎岳を目指して登っていく。

ちなみに、野口五郎岳を通過するのは、僕ら全員が今回で2度目。

まさか全員が2回目の野口五郎岳を、こんな形で訪れることになるとは思ってもいなかった。

登っていくと、やがて野口五郎岳が見えてきた。

そして、その途中で五郎池を確認する。

「これが五郎池か……」

以前、ここから見下ろした五郎池は、とてもきれいやった。

「あの池に降りることもできるんですよ」

そう教えてもらったことが、今回の東沢谷遡行でもずっと頭に残っていた。

だから、東沢谷から五郎池へ直接上がるルートを探していた。

そこを抜ければ、五郎池を見て、そのまま稜線へ上がれる。

野口五郎小屋へも近い。

まさにゴールデンルートだと思っていた。

ところが……

実際に上から五郎池を見てみると、

「……え?」

池がない。

いや、正確には池はある。

でも……

干上がっとるやん(笑)。

きれいな池どころか、干上がった、なんとも言えない溜め池のようになっている。

「そんなことある?」

みんなで笑った。

昨日まで、

「五郎池へ抜けられたら近道やのに」

と思っていた。

でも、もし昨日ここへ無理やり抜けていたら、この景色を見ていたわけだ。
しかも、樹林帯の中を苦労してルートを探し、五郎池まで登ってきて……

これ。

「近道と言って、遡行せんでよかったな(笑)」

結果的には、五郎池へのルートが見つからなかったことが正解だったのかもしれない。

東沢谷へ転戦したことで、予定は大きく変わった。

本来なら、それぞれ別のルートを歩くはずだった。

それが、最後は全員で野口五郎岳へ向かうことになった。

全員、2回目となる野口五郎岳登頂。

そして、干上がった五郎池を見て笑う。

山では、予定どおりにいかないことがある。
でも、予定どおりにいかなかったからこそ、見られるものもある。

さて、あとは野口五郎小屋へ向かうだけ。

野口五郎小屋のご主人(ふみさん)

そして明日は、全員でブナ立尾根を下る。

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