サミットプッシュ当日、昨日の天候と違って、吹雪。
まずは、尾根を登り詰めた先にある、ヌカビラ岳を目指す。
名もなき尾根の取り付きから、ヌカビラ岳までは、バリエーションルート(※)。
※)一般登山道ではないルートのこと
強い吹雪や、ホワイトアウトで視界不要になることも考えられるので、ピンクテープで目印を付けながら進んだ。
1533からヌカビラ岳まで、発達した雪庇がたくさんあった。
ヌカビラ岳山頂付近で、ジャンクションを示すテープを巻き、いよいよサミットプッシュを開始する。
風は、強くないけど、横殴りの雪で少し面倒な天気。
北戸蔦別岳に向かう道中、表面が軽くクラストしているので、アイゼンに変更。
北戸蔦別岳に到着したんやけど、ホワイトアウトになりかけ、、、。
ここで、仲間から3つの案を出された。
『①一旦、キャンプ3へ戻って停滞する。
②キャンプ3に戻って、キャンプを前進させる。でも、僕、これは避けたいです。
③幌尻岳に向けて行けるところまで行ってみる。』
過去、こういった状況下で、意見が分かれる場面に何度も遭遇した。
でも、それはリーダが明確になっていなことが原因やった気がする。
今回のリーダは、拓ちゃん。
リーダの提案から、(目的を達成して)生きて帰られる方法を考える必要がある。
北戸蔦別岳の山頂で、徐々に環境が悪化し、決断を急ぐ状況の中、瞬時に以下の事を考えた。
②は、避けたいって仲間の意見には、おれも賛同。この気象環境でキャンプを前進させるのは得策ではない。
③は、ラジオで連日流れていた7日~8日の悪天候予報。このまま進んだところで、撤退する可能性が高いなら、行くだけ無駄。
俺の中では、①が現実的。
当初の計画で停滞も考えていたから、食料は、1/10まである。
ただ、装備が気になる。
・寝袋は、結露してすぐに凍ったので、保温性がなくなってきたこと。
・初日、エアマットに不具合があり、使い物にならなくなったこと。
・雪洞内はマイナス8度、雪洞外はマイナス25度の環境。停滞しても体温が上がるような行動がないこと。
目的を達成する選択がないなら、生きて帰ることが最優先。
装備の性能が落ちていく中、悪条件が原因で停滞し、目的を達成できるのか?って考えると、この不安は俺を前に進めなかった。
「・・・撤退しようか。」
『・・・。幌尻に行けなくてすいません。ほんと申し訳ない。涙出そうになる。』
って、言うんやけど、俺よりも重い30kg越えの荷物を背負って、スノーシュー履いても膝ラッセル、腰ラッセル。
そんな中、ずっと先頭に立って尾根を登り詰める後姿がよぎって、俺が涙出た、、、。
山は強気で挑んでいくより、後戻りする時の方が、強い意志が必要になる。
生きて帰ることを共に選択し、お互い命を預けられる友を【仲間】と呼ぶんやと思う。
北戸蔦別岳山頂で写真を撮って下山。
目印に付けたピンクテープをすべて回収。
下山途中、ヌカビラ岳が見えたんやけど、すんごい速さでガスが発生しているので、強風のなのがよく分かる。
行動日数:4日
行動時間:約35時間
行動距離:約37km
たくさんの事を学べ、考えることが出来た最高の山行でした♬
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