明神岳主稜

7月の三連休は北鎌尾根で予定してたんやけど、その数日前から大雨続き。

沢の増水や行動の遅れを懸念して行先をコブ尾根に変更したが、岳沢の濡れた雪渓(アイゼンは用意していない)、濡れた草付き登攀の懸念も払拭できず、明神岳主稜で決定した。

明神岳主稜は日帰りできるので、1日目は小梨平で泊まることにした。
タクシーを予約していたので予定通り、5時に上高地入りしたけど雨。

上高地BTから10分の小梨平まで歩くことすら嫌でBTのビジターセンターでダラダラ過ごしたんやけど、そこにいた俺たちに気づいてたくさんの人たちが声を掛けてくれた♬

小梨平の濡れた地面にテントを張るのが嫌で初めての常設テント泊。

通る人のほとんどがテントの中を覗くので、こっちが通る人を見返すww


みなで昼寝したり、ワイワイ無駄話したりして、よく3時起き、5時スタートに備えた。

予定通り、3時半起床で支度を整え、5時スタート。
明神岳主稜の取り付きとなるNo.7の標識までラジオ体操をしたり、ウダウダ話しをしながら歩いた。

まさかこれから20時間行動になるとは思わなかったww

まさか、これから20時間近い行動になるとは誰も思っていなかったはず(笑)

標識No.7から明神岳主稜へのバリエーションルートが始まる。
そして、TJの仕切りも始まる(笑)
仕切りもリーダ、ガイド感を出すのもいつものことなので好きなようにやらせた。

登り始めは急登、風が通らない樹林帯の急登、地味に疲れる急登。

急登が終盤に来るとFIXロープが出てくる。

岩稜の軽い岩登りの後、5峰台地に到着するとやや風が強かったが青空も見えだした。

ピッケルが刺さっている5峰を通過し、4・5のコルへと下る。

4峰手前ではガスが抜け、登ってきた稜線が見下ろせた。

3峰は稜線通しと下巻きのルートがあるが、おれらは稜線通しで登攀を続けた。

2峰は約25m2回の懸垂下降で進むことになるが、上段はクライムダウンが可能。

本峰への最後の登り

12時、本峰到着。

下山ルートは、”奥明神沢”を選択。
これは、明神登攀を選択した時に皆で決定した。

しかし、奥明神沢を目の前にして、TJがゴネ出した。
「落石が怖くて行けないから、おれは前穂経由で下る」と。

「そんな勝手なことするんやったら、リーダー面すんやな!」と藤もっちゃん。

ヒト揉めした後、すぐに絵里ちゃんがめちゃくちゃデカい浮石を落として、間一髪でおれは避けることが出来た。

”ほらっ言ったやろ?”とTJの心の声が聞こえ、”さぁ、どうする?”と決断を迫られたが、おれは判断を変えなかった。

奥明神沢は浮石が多く落石発生のリスクが高いことは俺も認識している。

しかし、沢に限らず明神主稜自体が特に浮石の多いルートであるが、岳沢小屋への最短ルートであること。
加えて、以前TJと2人で明神東稜に挑戦した際も奥明神沢を利用したが、「沢筋が異様に怖いんだ」と言っており、個人的感情が前面に出ていると感じたこと。
そして、TJと絵里ちゃんの面倒はTBH3人を含む俺たちでどうにでもカバーできる考えたこと。

浮石(落石)と、恐怖が理由ならバリエーションルートの登攀には参加しなければいいし、藤もっちゃんが言うようにリーダー面しなければいい。

おれは計画通り奥明神沢下降を継続すること決断した。

とは言え、混合チームで人数が多いので、俺と藤もっちゃんが先行して偵察し、絵里ちゃんは島根兄サポート、しんがりは島根弟が務めることにした。

約8mの落差が出来てきたので、クライムダウン降りることにした。
ここは、以前もロープ無しで下った場所だ。

しかし、この場所で事故が発生した。
不覚にも岩陰で見えなかった苔で滑って滑落してしまった。

ふじもっちゃんの「片山さん!大丈夫!」との呼びかけ、「大丈夫!」と即答したが、藤もっちゃんから見えない大岩の陰で、かなりの衝撃と激痛で悶える俺。

他の仲間は懸垂下降に替えることにし、その間に、おれと藤もっちゃんは更に先行して進んだ。
このまま順調に下れると思った矢先、雪渓が現れた。

この雪渓をみて終わったって思った

とりあえず主力メンバーで相談するしかないって思い、姿が見えないくらいの遥か後方から降ってくるシンさんに電話しようとした。
これは、さっきの雰囲気から”ほらなっ”って空気を出されているので、冷静に判断できるのはシンさんだと思ったから。

しかし、藤もっちゃんが「こんなことシンさんでは判断出来ん。かっちゃんに聞こう」と。

シンさんたちが追いつく間に、おれはシュルンドの縁を通って偵察に向かった。
俺たちのギアは数少ないが、30mロープが2本あるので、このまま降ることにした。

ボラード、捨て縄を使った石アンカー等を駆使して降りるしかない。
かっちゃんも同意見でさっきまでグズっていたのにスイッチが入ったようや。

一方、おれは滑落で負傷した肋骨、肘がめちゃくちゃ痛かったがそんなことは言ってられないので、痛み止めを飲み、オールリードでかっちゃんと2人で活路を作った。

途中、小雨が降ってきて終わったって思ったけど、全員手際よくレインウェアを着込んで行動を続けた。

夜中21時頃、無事雪渓を抜けることができた。

ホッと一息付いて、皆で労を労い空を見上げたら天の川の中を、ISSが横切っていた。

岳沢小屋を抜け、下っていると肋骨、肘、足の痛みが増してきたので、小屋から30分ほど下った場所で休憩をとった。
そして、動けなくなった(笑)

緊張が解けた事で、痛みを感じやすくなったようだ。
皆は先行して下山し、おれとみゆきちゃんはのんびり降った。

夜遅く、小梨平でテントを張ると騒音で迷惑になるので、上高地BTに荷物を移動し、皆でウダウダ言いながら晩御飯を食べて、早々に仮眠した。
仮眠時間約3時間(笑)

痛みが治らないので、帰宅した2日後に通院し、MIR検査の結果まあまあ重傷で、肋骨3本(第8・9番、肋軟骨)骨折、右肘骨折、右肘側靱帯断裂、右肘骨挫傷と診断された。

「よくこれで降りてこられたね」と医師に言われたが、俺もそう思う。
ともあれ、しばらく山はお預け。

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