【大同心北西稜】冬季は格段にルートグレードが上がる!

TAKA10の始まりである大同心北西稜。
外岩初のデビューがこの厳冬期の大同心北西稜と言うのは、いろんなところで話しているので知っている人も多いと思う。

大同心北西稜←トポ図

1回目、2014年の厳冬期にアイゼン登攀、2回目は2024年10月に登山靴で登攀したけど、いずれもフォロー。

自身の成長をどうしても確かめたくて、以前から冬期登攀のチャンスを伺っていた。
当初は別の山行を考えていたけど、いいタイミングと思い、仲間や妻に相談し”大同心北西稜”にしてもらった。

前情報として、ルートグレードはⅡ~Ⅴ級、但し、過去に掲載された岳人では「積雪期はルートグレードが格段に上がる」と紹介されていた。
とは言え、フォローで厳冬期に登攀しているし、無雪期も登っているし、肌感覚で抜けれられるだろうと思っていた。

当初は、鉱泉BCで登攀を予定していたけど、ヤマテンの猪熊さんがタイミングよく土日OFFと言う事もあり、荷物を減らしたスピードアタックに変更した。

3時に駐車場に到着し、支度を開始、4時前には出発できた。
荷物が軽く、鉱泉には5時半ごろ、大同心北西稜取り付きには予定より若干早い8時前に到着。

さて、いよいよ自身の成長を試す時が来たとわくわくする。
1~3ピッチは、技術的に難しく感じなかった事と、時間に余裕があった事で、仲間にリードを勧めました。
仲間は最近バックカントリースキー(BC)に打ち込み過ぎたのか「久しぶり過ぎて登れるやろか?」と少々弱気な発言(笑)
しかし、技術的にはどうってことないことは分かっていたし、仲間はいつもまずはやってみる!と言う意気込みがあるので、支度を整えたら登攀を開始。

1ピッチ目:25m(Ⅳ—)
ところが、やはり久しぶり過ぎたのか、チムニー手前でやや苦戦。
時間には余裕があるので静かに見守っていたら、「あぁ!」と言って、フォールテンション。
「もう一回行ってみる」と、あの手この手で探っていたけど断念した。

替わって妻が登攀。チムニー手前まではトップロープ状態なのですんなり登って行き、チムニー区間で苦戦するかな?って思ったけど、時間的に見たらそんなこともなく登って行った。
ピナクル横の終了点で確保し、俺と仲間が1ピッチ目終了点まで登る。

1ピッチ目終了後、緩やかな草付きを右手に北西稜の岩壁を見ながら回り込むように進むと2ピッチ目が始まる。

2ピッチ目の前に、少しだけ休憩し、3ピッチ目まで広いルンゼを詰める。
2ピッチ目:80m(Ⅱ)

3ピッチ目:30m(Ⅲ+)
稜線通しに登るのも、ルンゼを詰めるのどちらでも行けるけど、個人的には稜線通しの方が精神的に楽でした。仲間は、1ピッチ目のリベンジも兼ねてリード。
最初は稜線通しで向かって言ったけど、ルンゼの方が行きやすく感じたのかルート変更。
しかし、ルンゼ側は1ヶ所いやらしい箇所があり、ちょっと手こずっていたけど、しっかりと抜けてフォローの俺たちを迎えてくれた。

さて、ここからは自身の成長を確かめる為、俺のパート。

4ピッチ目:25m(Ⅴ)
3ピッチ目終了点から見ると分かりやすい凹角が目の前にあるので、その中を登って行く。
この凹角には探せばたくさんハンガーボルトがあるので、高度感がある割には難しく感じませんでした。

5ピッチ目:25m(Ⅳ+)
4ピッチ目終了点のすぐ上にあるやや被りのリッジがルートですが、これは右手側から正面壁側に回り込みリッジに乗ります。
垂壁と浅い凹角、草付きをクリアしたら、ダケカンバの灌木帯で確保です。

6ピッチ目:60m
草付き、ハイマツ、雪稜を抜ける歩きパート。
しかし最終ピッチ手前が何故か雪深く地味なラッセルとなりました。

さて、いよいよ核心の7ピッチ目。
これを抜けたら完登です。

7ピッチ目:30m(Ⅴ+)←後でわかったけど、Ⅴ+って(笑)
被ったクラックです。いざ取り付いてみると、やはりリードでは格段にグレード増した最終ピッチで、クラック左手にあるハンガーに届かない。クラックの中に手を入れて肘を利用したジャミングでも決まらない。あの手この手で支点を取って、A0~A1を駆使するも、時間だけが過ぎていきました。ここから懸垂で撤退しようかとも一瞬考えたけど、やっと来れたと言う気持ちからか無我夢中で岩と向き合い核心の箇所を抜けました。

抜けた頃には真っ暗で、大同心の頭にはビレイ点が無いので小さなコブ岩を利用してビレイ。
まずセカンドで登ってくる妻を引き上げたモノの、ロープが一向に上がってこない。
ハーケンに立ちこんだ時にアイゼンの歯が挟まり外れず、仲間と二人で悪戦苦闘。
結局、アイゼンを外す羽目になり、更にグレードオーバーで戦意喪失。
全身全霊で引き上げ、頭に着いた時に「もうクライミング止めたい」と言っていた。

そして、仲間の引き上げ。これまた全身全霊で引き揚げたけど、それでも苦戦して全員が頭に着いた時には20時になっていた。

装備を解除し大同心と小同心の間を通るいつもの近道利用。
適度に雪が積もっているので降りやすいけど、みな体力を使い切っているので、懸垂下降で大同心基部(大同心南稜の取り付き)まで降りました。

淡々と下り、駐車場に着いたのは夜中でした。
またまた、20時間行動。

今回も反省です。

しかし、猪熊さんは夜中になったのに泊めてくれました。
また心配かけてしまった。これも反省案件です。

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