シウラ・グランデへの挑戦が終わった日

朝になっても、約束の馬は来なかった。
ベースキャンプのみんなも心配してくれ、どうやって下山するのが一番現実的かを、一緒に考えてくれた。

やはり、自力でカルテルワインまで下り、そこから車でワラスへ向かうしかないのではないか――。
それともここから一番近い村、クエロパルカまで行き、そこからバスなどを乗り継ぎ、8時間以上かけてワラスへ戻るのか。

そんな話をしていた矢先、ハイテク小屋を管理しているおばさんが、「ルーベン!」と指さした。

「来た!」

思わず安堵した。
ところが、新たな問題があった。

馬は来たものの、アリエロはカルテルワインまで行くつもりがないと言う。

途中までしか行かないという話だった。
それでは意味がない。

エージェントのロドルホに電話し、直接話して必死に説得してもらい、追加料金を支払うことで、ようやくカルテルワインまで行ってもらえることになった。カルテルワインに車が待っているのでそれでワラスに戻ればいい。今日中に病院に行ける目途が立った。

そして、ここで仲間とは別れる。

仲間と別れ、下山を開始する。

シウラ・グランデへの挑戦はあっけなく終わった。

仲間は、再び山へ向かう。

いや、正確にはワイワッシュのトレッキングサーキットを続ける。
ここは世界屈指のトレッキングサーキットの1つと言われている場所。

オレだけが下山する。
正直、この瞬間が一番つらかった。

「ヘリで簡単に戻れるような整った登山がしたいのか?」

そう問われれば、答えは違う。
でも、こんな経験、思いをするなら整った登山がいいのかもしれない。

今回はいろいろと考えさせられる出来事になった。

仲間と別れ馬に跨る。
馬は思っていた以上に速かった。

やはり、坂道でも馬は一定の速さで登って行く。
ただ、決して楽ではない。

揺れは激しく、尻も膝も痛い。
なにより熱が出ているのでフラフラで辛い。
ゆっくり行っても、速く行っても辛い時間が変わるわけではない。

だから必死にアリエロについていくことにした。

しかし、気がつけばあっという間に姿が見えなくなる(笑)

何とか進み、要所要所で馬の休憩をはさむ。川の水を飲ませて、草を食べさせて。

そして、カカナプンタ峠はさすがに馬では越えられないので、馬を降りて歩く。
カカナプンタ峠を越え、そして歩いて降る。下りは速く、なんと15時にはカルテルワインへ到着した。

「予想では17時にカルテルワインと言われていたけど、思ったより早かったな。」

「速かった。馬に乗るのが上手い!」と言われた(笑)

しかし、そう思ったのも束の間。
来るはずの迎えがいない。

そのうち来るだろう。
そう思って待ち続けた。ルーベンも一緒に待ってくれた。

1時間。

2時間。

風が吹き始め、気温は一気に下がる。
日向を探して移動していたが、ついには日も沈み、寒さで動くのも嫌になった。
寒すぎて、岩陰で風を凌いでいたけど、体調不良にはキツすぎて、ザックから寝袋と防寒を取り出し、それにくるまってひたすら待った。

電波も入らない。のども乾いた。体調も最悪。
しかし、ただ待つことしかできなかった。

ルーベンが「荷物はここに置いて、一緒に村に行こう」と言った、その時。

「おい、来たぞ!」と指さした。

18時。
はるか向こうに車のライトが見える。

ようやく車が到着したが、正直、腹が立って仕方なかった。

その後、車はワラスへ向かい、宿に着いたのは23時前。
結局、病院には行けず、ホテルで一晩越すことになった。

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